かみひとえ

人は何を考えているのだろう。ときどき考えるのだが、どうも僕には分りかねる。
彼らは常日頃、己を「無宗教だ」「無神論者だ」と言い張りながらも、たとえば席替えや宝くじや一日何度起こるか数えるのも面倒な勝負事ひとつひとつのたびに、嗚呼カミサマ、オーマイゴッド、もしくは仏様、ご先祖様と、一体僕に何度頼み込めば気が済むのだろうか。それでいて独り歩きも得意なのだから、やはりわからない。
そう、それから、彼らは僕のことを何か誤解しているらしいのだ。話を聞けば「カミサマは全知全能」だ「カミサマはすべてを許して下さる」だ「カミサマが人間を創った」だ・・・きりがない。そしてどれもこれも的外れである。僕はそんなものではない。
――じゃあお前はカミサマではないのでは?
なんだと?それは言いがかりだ。僕はカミサマだ。神だ。君達を導いたり導かなかったりしている。そういうのを神という。
ただ、僕は君達を支配しているわけでも、まして自然を操っているわけでもない。だからもちろんこの世の全てを知っているわけではないし、僕自身は何もできないも同然だ。君達の世界に影響を与えられるのは、むしろ君達の方である。
そして僕は全てのことを許せるほどお人好しではない。核兵器だったか、あれは本当にやめてほしいし、正直頭にきている。地球にどやされるのは僕だというのを忘れずにいてほしいものだ。それに地球が死んだら僕の命だって無い。
それから、これは絶対言っておかねばならないと思っていたのだが、僕は君達を創ってなどいない。君達の親は地球であり、宇宙だ。いるんだかいないんだかわからないような僕に、君達のような入り組んだものが作れるはずもない。僕に作れるのは、せいぜい君達の心の安らぎと、道標くらいである。――考えてみれば当たり前のことだ。子が親を産むことはできない。
つまりだ。僕は君の子供なのである。――認知してくれたまえよ、君達の頭の中以外に、僕の居場所はないんだから。
神様はいる でも私たちの知っている神様は、私たちの思っている神様ではない
ということを言ってみたかった。
(20090515)